なんとなくコラム

10/12/7(火)
ラジオのエアチェック

今は、パソコンやケータイで「ポチっ」とクリックするだけで簡単に音楽がダウンロード購入できる時代になったけど、昔はＦＭをカセットテープに録音していたんですよね。

「エアチェック」って呼んでたな。
今じゃ、死語かも。
若い子は、知らないよね。エアチェックって。

本屋にはＦＭ雑誌が売られてて、番組表には放送される曲名とアーティスト名と曲の時間が書かれているの。

　

番組表を見てお気に入りの曲を見つけると、カセットデッキの前でスタンバイして、番組をリアルタイムで録音するのがエアチェック。

録音一時停止状態で、ラジオを聞きながら待機。
お気に入りの音楽が流れると同時に録音を開始。
音楽が終わったら、すぐに録音一時停止。

これを繰り返して、オリジナルカセットテープの完成。
「ポチっ」とクリックするのと比べて、手間がかかってるよね。

一曲ずつ録音するから、必然的にオムニバスアルバムになるの。
だから、その人の個性が出たカセットテープになるよね。

その後は、カセットテープのレーベルを工夫したり、曲目を書いたり、タイトルをつけたりして、更に一段とオリジナル感が高まっていった。
手作りをしていたから、愛着も強かったよね。

好きな女の子にテープを貸すときは、緊張したよ。
曲の選曲も、レーベルのデザインも、すべてオリジナルだから。
思いっきり、自分が出ちゃう。

雑誌「FM STATION」のカセットレーベルの付録は当時人気。鈴木英人のイラスト。

世の中は、レンタルレコード、やがてレンタルＣＤが出てきて、アルバムをカセットテープにそのまんま録音するのが主流になり、エアチェックは下火に…。

さらに、ＦＭ番組の方も、あらかじめ決められた音楽を流すスタイルから、リスナーからのリクエストＦＡＸをその場で流すスタイルに変わり、前もって放送する曲目を雑誌社に伝えることができなくなっちゃって、ＦＭ雑誌の役割も終わってすべて廃刊。

僕世代は、みんなエアチェックをしてオリジナルテープを作っていたから、ＦＭやカセットテープに対する思い入れも強いんじゃないかな。

そんなこんなで、エアチェックなんてすっかり遠ざかっていた僕だけど、今またＦＭを録音して聴いています。
そのスタイルは、だいぶ変わったけど…。

「rajiko」っていうインターネットサービスが始まったのね。
パソコンで、ＦＭやＡＭラジオが聴けるんです。
雑音もなく、めっちゃクリア。
鎌倉はラジオの電波が弱いから、すごく嬉しい。

でね、ソフトを使って、番組を予約録音するの。
それをケータイ音楽プレーヤーにコピーして、持ち歩いて聴いています。
深夜の放送も、昼間の放送も、パソコンが勝手にどんどん録音してくれています。

今のお気に入りは、日曜日の夜にＦＭ東京系列で放送されている「シーソーメール」っていう番組。
大人のためのラジオドラマなんだけどね。
先日の日曜日から、新しい物語が始まりました。

登場人物は仕事に夢中になりすぎて、恋とは縁遠かった古美術商で働く３５歳の弦巻ちとせ（ともさかりえ）と、新薬の研究に没頭しすぎて同じく恋愛から遠ざかっていた３６歳の製薬会社勤務の船橋和哉（萩原聖人）。
そんな二人が結婚相談所が開いたパーティで出会う。
まじめでもどかしいまでに不器用な二人が、京都と東京という遠距離恋愛に翻弄されながらも、クリスマスまでの物語を紡いでいく…。

docomoがスポンサーだから、ケータイメールが物語の脇役をやってるんだけどね。（…ていうか、ほとんどがメールだけ。その間に、ナレーションと音楽が流れる程度。）

初々しくていいんですよ。物語に登場する二人が…。
３６歳と３５歳のいい大人が、恋にまっすぐで、不器用で、誠実で、キュンとしちゃうの。

な～んかね、ラジオを聴きながらドキドキしちゃうの。
妄想全開ですよ。自分の昔の恋と重ね合わせちゃったりして。
気になる女の子にメールを送るときのドキドキ。その子からメールが届いたときのワクワク。
少しずつ少しずつお互いの気持ちを交わしあっていくメール。

これってさぁ、ラジオドラマのいいところだよね。
ぶわぁ～っと、頭の中にイメージが脹らむの。無限大に。
しかも、物語の中に自分が入れるのね。どっぷりと。

ＮＨＫのＴＶドラマ「セカンドバージン」が話題ですよね。
４５歳のバツイチ女と２８歳の既婚男の不倫物語。
アラフォー女が、１７歳年下の男との危険な恋に溺れていくというもの。
ＮＨＫとは思えないテーマと過激な描写で、視聴率もすごいとか。

　

アラフォー女の間では、絶大な支持を得ているんだって。
火曜日の夜、アラフォー女は飲みにも行かず、２２時にはテレビの前で正座して番組が始まるのを待っているらしい。

鈴木京香が若い男と絡むベッドシーンが見られる「セカンドバージン」もいいけど、年下の男との不倫に憧れるのもいいけど、頭の中で純愛を妄想するラジオドラマの「シーソーメール」もいいもんですよ。

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